ヤンキーの巣穴

5/21

139人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
「外見は確かにそうだが、俺はコイツの目が気にいった。獲物を狙ってる目をしてる」 「良矢が気にいったなら、好きにすればいいだろう。俺にはカンケーねぇ」 三人の力関係は、厳つい広基より別所が上? 「俺達、毎週土曜日集会してっから」 「集会?サークルでも入ってるのか?」 三人は私の言葉に、ゲラゲラと声を上げて笑った。 「サークルだってよ。まっ、そんなとこだ」 教室のドアが開き、担任が入って来た。衣笠匠吾(きぬがさしょうご)、新品のスーツを着た新卒の眼鏡教師。 このクラスを新卒に担任させるなんて、校長先生もチャレンジャーだ。 「みんな着席しろ」 若い教師の言葉に、誰一人従う者なんていない。 「聞こえないのか、席に着け!」 威勢のいい啖呵、黒板がボンッボンッと音を鳴らし野球のボールが数個床に転がる。 運悪く一球顔を霞め、弾みで眼鏡がだらしなく鼻先にずれる。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

139人が本棚に入れています
本棚に追加