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「外見は確かにそうだが、俺はコイツの目が気にいった。獲物を狙ってる目をしてる」
「良矢が気にいったなら、好きにすればいいだろう。俺にはカンケーねぇ」
三人の力関係は、厳つい広基より別所が上?
「俺達、毎週土曜日集会してっから」
「集会?サークルでも入ってるのか?」
三人は私の言葉に、ゲラゲラと声を上げて笑った。
「サークルだってよ。まっ、そんなとこだ」
教室のドアが開き、担任が入って来た。衣笠匠吾(きぬがさしょうご)、新品のスーツを着た新卒の眼鏡教師。
このクラスを新卒に担任させるなんて、校長先生もチャレンジャーだ。
「みんな着席しろ」
若い教師の言葉に、誰一人従う者なんていない。
「聞こえないのか、席に着け!」
威勢のいい啖呵、黒板がボンッボンッと音を鳴らし野球のボールが数個床に転がる。
運悪く一球顔を霞め、弾みで眼鏡がだらしなく鼻先にずれる。
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