ヤンキーの巣穴

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「今、ボールを投げたヤツは誰だ!前に出ろ!」 騒いでいた生徒が衣笠を睨んだ。あっというまに衣笠はヤンキーに取り囲まれる。 「センコー、何か俺達に文句あんのかよ!」 「いや…俺はその…」 ヤンキーに囲まれ、さっきまでの威勢が、蝋燭の火が消えるように鎮火する。 「みんな、今日は初日だ。先生の顔を立ててやろうぜ。黙って着席しろ」 別所の言葉に、波が引くように全員が席に着く。先生はネクタイを絞め直し、緊張した面持ちで教室を見渡した。 「コホン、みんな入学おめでとう。入学式でも紹介されたが、一年B組の担任、衣笠匠吾だ。初めての担任だが、乱れた風紀を正すためにビシビシやるからな」 先生は黒板に几帳面な字で名前を書く。 「イヤン、こんなの初めて。鞭でビシビシ?もっと優しくしてぇ」 坊主頭に髭を生やした北崎太郎(きたざきたろう)が、先生をからかう。
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