ヤンキーの巣穴

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―お好み焼き ドン引き― 「俺、肉たま」 「俺、イカ天」 「俺、ネギ増量。お前らは?」 店内にはヤンキーが集結し、鉄板で熱々のお好み焼きを頬張っていた奴等が一斉に立ち上がり、三人に頭を垂れた。 異様な光景に、私と愛翔は固まる。店に空席なんかない。注文して待つ気なのかな? 「俺は肉たま。愛翔は?」 「僕も羽瑠と同じでいい」 「注文は以上だ。あとで二階に持って来て。コーラ貰ってくから」 「あいよ」 二階?二階も客室があるんだ。 別所は冷蔵庫からコーラを五本抜き取り、店内の隅にある階段を上る。大人が一人ギリギリ通れるくらいの狭いスペース。 ドスドスと五人が上ると、ギシギシと階段が悲鳴を上げた。 二階は二間。 別所は右側のドアを開ける。室内は生活感に溢れた六畳の和室。ベッドとタンスとテレビ。小さな折り畳みのテーブルがあるだけ。 「ここ…客室?」 「アホ、こんな客室があるか。お好み焼きの匂いが充満したラブホなわけねぇだろ」
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