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「羽瑠、藍里から部屋の鍵預かってるの」 部屋のドアが開き、母がニッコリ微笑む。自分の親ながら、可愛い笑顔だ。 流石、元アイドル。 こんなに美人なのに、父と結婚するために芸能界をスッパリ引退するなんて、本当に勿体ない。 母が差し出した鍵。 思わず手を前に出す。 瑠羽がその鍵を、奪い取るようにひったくった。 「母さん、サンキュー」 「食事は作って持って行くからね。愛翔君の好きな物沢山作って行くから」 「うん。愛翔と話してみるよ」 「瑠羽、マルティーヌ女学院はメイク禁止だよ。興味があるのはわかるけど、ちょっと濃すぎない?」 母は何の疑いもなく、りんごみたいに赤く塗られたチークをファンデーションで抑えた。
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