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「ママ、おはよう。パパは?」
「パパはドラマの撮影」
「は、早いね。うわ、美味しそう」
「瑠羽、愛翔君起こしてきなさい」
母は羽瑠が女装していることを知りながら、わざと知らない振りをしている。
羽瑠もバレてるとは知らず、クネクネと私を演じる。
ていうか、私はそんなにクネクネしないよ。タコじゃないんだから。勝手に軟体動物にならないで。
羽瑠は母の前から逃げるように和室に舞い戻り、愛翔を起こす。
「愛翔、愛翔、起きて。朝御飯だって」
「瑠羽…おはよう」
「おはよう」
二人は仲良くダイニングルームに顔を見せる。
母はにっこり微笑み、二人に洗顔してくるように促す。
息子が女装し女言葉を話しているのに、全く動じないなんて、不思議でならない。
しかも昨日床に放置した白い特攻服が、ハンガーに掛けてある。どうやら翼さんの衣装だと勘違いしているみたいだ。
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