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黄色のペンキで塗られた倉庫。シャッターは開き、中を覗くと白い特攻服を着た十人のヤンキー。
特攻服の背中には昇り龍と白龍連合の文字。倉庫は小綺麗に整理整頓され、咬風の廃墟とは比較にならない。
一歩足を踏み入れると、一番後列にいた覆面の男が私に気付き、立ち上がる。
「羽瑠、本当に来てくれたんだ。一兵(いっぺい)、羽瑠は怪しいもんじゃねぇ。三星のダチだ」
「嵐さんの?失礼しました。俺は夏中の桟敷一兵(さじきいっぺい)です」
夏鬼中学?まだ中学生なのか…。ヤンキーなのに、やけに礼儀正しいな。
中央にはオールバックの髪型をし、タオルで覆面をしている男が座り、その両サイドを別所、城ヶ崎、広基が固めている。
「総長、こいつが幸田羽瑠だ。いい目をしてるだろう」
「お前が幸田羽瑠か」
私を見据えるその目に、どこか見覚えがあった。
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