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【愛翔Side】
――深夜二十三時五十分、別所が瑠羽を迎えに来た。
マンションの下でバイクのライトがカチカチと二回光る。
隣室のドアが開き、靴音がした。羽瑠に扮した瑠羽が部屋を抜け出したんだ。
美羽さんには僕の家に泊まると嘘を吐いている。
零時に神風がマンションに来たら、別所と瑠羽が神風を捕らえる。
あの用心深い神風が、単独で行動するとは思えない。まして僕なんかの言葉を鵜呑みにするとも思えない。
これは…
瑠羽が考えた作戦。
一か八かの賭けに過ぎない。
神風が集団でここに押し寄せたなら、そこでこの作戦は失敗となる。
階下にいたバイクを植え込みに隠し、ライトも消えた。別所と羽瑠も植え込みに隠れている。
小心者の僕。
緊張から体の震えが止まらない。
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