80人が本棚に入れています
本棚に追加
「本当に一人で来たの?」
「約束だからな」
マンションの外に出る。
周辺には誰もいない。
「嬉しい」
神風に抱き着くと、神風はニヤリと口角を引き上げた。
黒い特攻服。
背中には般若の顔と、血塗られたような咬風―KAMIKAZE―の文字。
神風が僕に気を許した。
足音も立てず近づいた別所と瑠羽。
だけど神風は二人の接近に気付いていた。僕を片手で抱き締めたまま、神風は別所の腹部に足を食い込ませる。
「…ぐぁ」
別所の体が宙を舞い、ドスンとアスファルトに叩き付けられた。
瑠羽が危ない!!
僕はジャンパーのポケットから、カッターナイフを取り出し、静かに刃を出す。
そして刃先を、神風の首に当てた。
「神風君、僕の友達に乱暴しないで」
「愛翔…、お前俺を裏切るのか」
最初のコメントを投稿しよう!