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「アジトへ案内しろ。羽瑠頼むぞ」
「おう」
瑠羽は震えている僕の手から、カッターナイフを取り上げ、僕の代わりに神風に向けた。
「愛翔、お前は家に帰ってろ」
「…いや、僕も行くよ。瑠羽を行かせるわけにはいかない」
「瑠羽?いいから、帰ってろ!」
瑠羽にドンッと胸を突かれ、僕はアスファルトに尻餅をつく。
神風のバイクの後ろに瑠羽は乗り込み、神風に刃先を向けた。別所は自分のバイクに跨がる。
「愛翔、羽瑠のことなら心配いらねぇよ。俺達がついてる。お前は足手まといだ。さっさと帰れ!いいな!」
「…良矢」
神風の後ろに乗っている瑠羽が、ニヤリと口角を引き上げた。瑠羽はあんな顔をして笑わない。
カッターナイフを握る手は、外灯の下で少しゴツゴツしているようにも見えた。
まさか…!?
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