罪と罰

3/19
73人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
…さっきのセリフも、お嬢様事件簿の決まり文句じゃん。 「…よせ、そこの君。それは小道具じゃねぇ。触るな」 翼さんの声に視線を向けると、コンクリートの床に転がった拳銃を神風が拾い、銃口を俺達ではなく兄である神風中に向けていた。 「神風…やめろ」 別所が怪我をした足を引き摺りながら、神風に近付く。 「兄貴は…俺を見殺しにするつもりだった…」 「よせ、神風!」 「兄貴は…俺を殺れと言ったんだ」 神風は中に銃口を向けたまま、ぽろぽろと涙を溢した。 その指先はガタガタと震えている。 「神風!やめろ!」 別所が神風中の前に立ちはだかる。 「俺はコイツを法で裁く。お前が罪を重ねる必要はねぇ。神風、お前本当は暴走族の総長なんてなりたくなかったんだろう。もうやめていいんだ。中を恐れる必要はないんだ」
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!