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…さっきのセリフも、お嬢様事件簿の決まり文句じゃん。
「…よせ、そこの君。それは小道具じゃねぇ。触るな」
翼さんの声に視線を向けると、コンクリートの床に転がった拳銃を神風が拾い、銃口を俺達ではなく兄である神風中に向けていた。
「神風…やめろ」
別所が怪我をした足を引き摺りながら、神風に近付く。
「兄貴は…俺を見殺しにするつもりだった…」
「よせ、神風!」
「兄貴は…俺を殺れと言ったんだ」
神風は中に銃口を向けたまま、ぽろぽろと涙を溢した。
その指先はガタガタと震えている。
「神風!やめろ!」
別所が神風中の前に立ちはだかる。
「俺はコイツを法で裁く。お前が罪を重ねる必要はねぇ。神風、お前本当は暴走族の総長なんてなりたくなかったんだろう。もうやめていいんだ。中を恐れる必要はないんだ」
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