許されぬ愛

42/48
前へ
/276ページ
次へ
「なぜ行方不明なんかに…」 「宿の部屋で寝る前にクラスの友達と トランプ遊びをしていた彼は ある友達がズルをしたのを目撃してしまったの」 「ああ……子どもの頃は そういう子もよくいたな」 思わず達也が笑うと 「ええ。じゃんけんする時に後出ししたり、よくあるわね」 安西も微笑む。 「周りの皆はふざけるなと 冗談を飛ばして笑いながら騒ぎ立てた。 でも剛くんは違ったの」 「彼は、なんて?」 「まるで大罪を犯したかのように、 その子を責めてしまった」 「………そうか……」 「皆からすればただのトランプ遊び。 しかも軽い気持ちでやったズルが 剛くんにはどうしても許せなかった。 アスペルガーは秩序を乱すとよく勘違いされるのだけど 反対に人よりも規則や規律を守ろうとする性質も持っているのよ」
/276ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2520人が本棚に入れています
本棚に追加