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「これで君たちも終わりだね?」
ソラが言った。
実際に相手の目にも、戦う意思など無さそうだ。
強すぎる。圧倒的な実力差だった。
「じゃあ君たちにも飽きたし…さっさと殺してあげるよ…!」
獅子はウサギを狩るのも全力でやるという。
ソラの態度はまさにそれだった。
相手を遊ばせておいて、飽きたら殺す。
たとえ、相手が弱者だったとしても、だ。
だからこそ、トップで居続けることができたのかもしれない。
(……どっちにしろ、今を生きていられることに感謝するか…)
くだらないことを考えてるうちに、勝負はすでについていた。
しかもパーフェクト。
ここまで実力差が出てしまうと、やる気もなくなってしまう。
「ソラ…今回は礼を言っておく」
「別にいいのに…どうせ次は敵同士なんだし?」
「……そうだな。」
「まあ、明日を楽しみにしておくよ」
そう言ってソラは消えていった。
きっと自分の部屋に戻ったんだろう。
(俺も戻るか…カナデのことも気になるし…)
そう思って、部屋に戻ることにした。
部屋に戻ろうとして、この前までと何かが違うことに気付いた。
(なんだ…?シャッターが降りてる…?)
昨日、いや今日の朝まではなかったはずだ。
なのにここには、なかったものが存在している。
何か緊急事態なのか、それとも…
(故意に誰かが降ろしたのか…?)
可能性から言えば後者の方が断然あり得るだろう。
しばらくその場に立ち尽くしていると、ソラが話しかけてきた。
「あれ?どうしたんだいミズキ君?そんなとこでボーっとして?」
「……なあソラ、このシャッターはなんだ?」
「ああ…これ?どうも決勝の相手が分からないようにするためらしいよ?」
「……なんでそんなことを知っている?」
「そりゃあ…聞いたからだよ、運営側に」
「そうか…ありがとな」
疑問も晴れたことだし、部屋に戻った。
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