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「確かに、この国は天照大神に始まる」
しかし、かつては天孫とは別系統の国が存在したのだ。
そうした国の中に、周の末裔を名乗る者がいたというのか。
「一つ聞くが、その自ら周末裔と名乗りし国が滅びしは、その王、百代目のことか?」
その問いに、刀自は首を捻った。
「さて、百代もございましょうや?太伯から数えても、未だ百代には至らぬのではないかと」
「まだ百代でない?」
ならば何故、とうに滅んだというのか。予言が誤りなのか。それとも。
「瀬戸内や九州に、末裔がおるのだな?」
「はい。水軍、海士の中にいるとのことにございます」
ということは、百代目の時、その水軍が他と諍いを起こしたり、内紛などで消滅するということか?いや、それでは予言としては弱い気がする。
「朝廷には、その末裔はおらぬのか?」
「さあ。でも、朝廷内にいてもおかしくありませぬ。唐土では、未だ日本を周末裔と見做しております。つまり、朝廷を周末裔だと思っているということです」
では、かの予言書は、現朝廷の未来を言ったものだということか?
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