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サボるといっても、この学校は自由に屋上に行けるわけでもなく、かといって教室に残ってたり校内を探索したりしてたら他の先生に見つかる。
一番安全なのは、昆虫学部の部室だ。
「へえー。この学校に昆虫学部なんてあるんだ」
佐久間君は興味深そうに標本を眺めている。
引かれるかと思ったけど、佐久間君なら大丈夫じゃないかとも思った。
佐久間君はもちろん後者だった。
「この標本とかって高原君が作ったの?」
「違うよ。歴代の先輩が残してくれたものなんだ。僕は見るのは好きだけど、殺して標本にするってのはどうしても出来なくて…」
「そうなんだ。この部活って一人しかいないの?」
「いや、一年生は僕だけだけど、先輩が何人かいるよ。顔も見たことない幽霊部員だけどね」
ふーん、とそれだけ言うと佐久間君は資料を手に取り、また興味深そうな表情を浮かべた。
僕も目の前にあった資料を手に取り、佐久間君を視界にいれないよう、わざと横を向いた。
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