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先生が話す連絡事項も耳にはいらない。僕は佐久間君に見惚れていた。
ハーフってだけでこんなに違うのか…。
地味で暗くて眼鏡で未だに名前も覚えてもらえない僕とは正反対の存在だ。
朝のHRが終わると、一限目が始まるまでの僅かな時間でみんな佐久間君の周りに集まる。
「なあ、お前どこの小学校だったんだ?」
「お父さんどこの国の人なの?」
「もしかして彼女とかいるの?」
「ごめん。一気に聞かれても答えられない。もう予鈴鳴ってるし、席着いた方良いんじゃない?」
男子は佐久間君を睨んだり舌打ちをしたりしながら席に戻り、女子は何も言わずに席に戻った。
佐久間君はそれでも平気そうに授業の準備を始める。
改めて自分と正反対だということを実感した。
さっきのよろしくという挨拶も社交辞令だったに違いない。
そう思うと何故だか寂しく思えた。
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