第1章

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一限目の授業は何も頭に入ってこなかった。 何故だか佐久間君が気になって横目でちらちらと視界にいれてしまう。 多分、自分ともクラスメートも全然違う存在に思えるからだ。 そうだ、そうに違いない。 「ねえ」 佐久間君もさっきは緊張していただけで、きっと慣れたら僕の存在は忘れるはすだ。 「ちょっと」 「わっ!?」 肩を叩かれ横を見ると、不満そうな表情を浮かべる佐久間君。 「さっきから話しかけてるのにさー、しかと?」 「そんな、違うよ!考え事してて、気づかなくて…」 「まあそんなことは良いんだけどさ、次って移動なの?」 「は?」 移動? 教室には誰も残っていなかった。 「あれ、今日の理科って理科室じゃなかったはずなのに、あれ…」 もしかして朝の連絡事項をきちんと聞いていなかったせいで…。 思わず机に突っ伏した。 今理科室へ遅れて行っても反省文を書かされてクラスメートに笑われるだけだ。 「次は理科室に変更なったんだと思う。佐久間君理科室の場所わかる?わからなかったら案内はするよ」 僕はそのまま保健室に行ってこよう。 そうすればサボったことにはならない。
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