第1章

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「誰が…ですか?」 親子って、 親がないのに、どうやって… 俺の事じゃないのか? なかなかその答えを言い出さない両親の顔を見比べる。 「毅くんは私の子供かも知れない…」 母親が、 そう、 口を開いた。 なにを言ってるんだ? その意味を理解するのに、 暫く掛かった。 母親が、その続きを震える声で続けて… あの施設に俺かも知れない男の子を置き去りにしたと、 迎えにいこうと思いながら、 行けなかったことを… 涙を拭いながら、 後悔の言葉を口にする。 俺じゃないって。 俺だったら、 麻美と兄妹って事になるじゃないか。 ほかにも居たよ? 小さい頃に養子に行った子とか、 卒園まで一緒だった子とか。 「だけど、 園長先生が残して置いてくれたあの時にあの子を包んでたおくるみ。 あれは私が刺繍やワッペンを縫いつけた物なの。 園長先生が間違っておられたならそれでいいの。 だけど… もし、 そうなら… あなたは麻美と…」 そういって泣き崩れる。 泣いたって… 今更泣いたって… どうしようもないじゃないか。
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