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「違っていればそれでいい。
君と麻美のことは心の底から祝福するよ…
麻美も君となら幸せに暮らしていけるだろう。
だけど、
もしそうなら…
うちの子供として、
麻美の兄として…
酷なことかも知れないが、
そうやって、麻美に接してほしい。
今までなにもしてあげられなかった事を、
これから…
全部、してあげたい。
全力で、支えたい。」
苦悩の表情で、父親がひとつひとつ、
言葉を吐き出す。
親なんて…いらない。
もう、諦めてたんだ。
とっくに。
「もうこれ以上、
苦しいのはイヤです。
麻美に苦しみを与えるのもイヤだ。
なんでそんなことになるんですか。
やっと…
やっと元に戻れたと思ったのに…
親なんていりません。
そんなのとっくに、
切り捨てて生きてきたんですから…」
何なんだ。
何で俺たちはこんな目に遭うんだ。
なにをしたって言うんだ…
ごめんなさい…
そう言いながらテーブルに頭を擦り付けるように泣いてる母親。
謝るぐらいなら最初から…
「毅くん…
鑑定を受けに行ってくれないか?
今から。
実は、知り合いの所に予約を入れてるんだ。
違っていればいいと、
私たちも思ってる。
違っていてほしいと。
だから、
それをはっきりさせるために、
どうかな…」
そうか。
最初からそのつもりだったんだな…
初めから今日、
鑑定を受けるために、
俺に電話をしてきたのか…
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