第1章

13/40
前へ
/40ページ
次へ
「違っていればそれでいい。 君と麻美のことは心の底から祝福するよ… 麻美も君となら幸せに暮らしていけるだろう。 だけど、 もしそうなら… うちの子供として、 麻美の兄として… 酷なことかも知れないが、 そうやって、麻美に接してほしい。 今までなにもしてあげられなかった事を、 これから… 全部、してあげたい。 全力で、支えたい。」 苦悩の表情で、父親がひとつひとつ、 言葉を吐き出す。 親なんて…いらない。 もう、諦めてたんだ。 とっくに。 「もうこれ以上、 苦しいのはイヤです。 麻美に苦しみを与えるのもイヤだ。 なんでそんなことになるんですか。 やっと… やっと元に戻れたと思ったのに… 親なんていりません。 そんなのとっくに、 切り捨てて生きてきたんですから…」 何なんだ。 何で俺たちはこんな目に遭うんだ。 なにをしたって言うんだ… ごめんなさい… そう言いながらテーブルに頭を擦り付けるように泣いてる母親。 謝るぐらいなら最初から… 「毅くん… 鑑定を受けに行ってくれないか? 今から。 実は、知り合いの所に予約を入れてるんだ。 違っていればいいと、 私たちも思ってる。 違っていてほしいと。 だから、 それをはっきりさせるために、 どうかな…」 そうか。 最初からそのつもりだったんだな… 初めから今日、 鑑定を受けるために、 俺に電話をしてきたのか…
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加