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待ち合わせた駅で車を降りた。
研究所から、
ひとことも話はしなかった。
だって、酷すぎるだろ…
こんな事、急に言われて、
頭の中を整理する間もなく連れて行かれて…
涙のひとつ、
出るような時間さえなかった。
母親なんていらない。
麻美だけが居ればそれでいいんだ。
どういう経緯なのか…
詳しくは知らない。
だけど、
母親は再婚で、
あの父親の子供ではないという事。
だとしても、
許せない。
俺じゃないと信じてるけど、
それでも誰か、他のヤツを赤ちゃんの時に捨てたという事が。
子供は親を選べないんだ。
選べたとしたら、
そんな無責任な親の元には産まれない。
産まれたくもない。
親しか頼れないのに、
その子供を、
喋れない子供を置き去りにして、
自分だけあんな贅沢な家で幸せに暮らしてたなんて…
絶対に、
許せない。
「どうした?
顔色が悪いぞ…
具合が良くないんじゃないか?」
店に出た。
いつまでも遊んでるような身分じゃない。
「マスター…
俺…」
父親のようなマスターには、
どんなことも話してた。
この事も、
話すとなにかいい解決が出来るんじゃないかと思ったんだ…
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