第1章

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待ち合わせた駅で車を降りた。 研究所から、 ひとことも話はしなかった。 だって、酷すぎるだろ… こんな事、急に言われて、 頭の中を整理する間もなく連れて行かれて… 涙のひとつ、 出るような時間さえなかった。 母親なんていらない。 麻美だけが居ればそれでいいんだ。 どういう経緯なのか… 詳しくは知らない。 だけど、 母親は再婚で、 あの父親の子供ではないという事。 だとしても、 許せない。 俺じゃないと信じてるけど、 それでも誰か、他のヤツを赤ちゃんの時に捨てたという事が。 子供は親を選べないんだ。 選べたとしたら、 そんな無責任な親の元には産まれない。 産まれたくもない。 親しか頼れないのに、 その子供を、 喋れない子供を置き去りにして、 自分だけあんな贅沢な家で幸せに暮らしてたなんて… 絶対に、 許せない。 「どうした? 顔色が悪いぞ… 具合が良くないんじゃないか?」 店に出た。 いつまでも遊んでるような身分じゃない。 「マスター… 俺…」 父親のようなマスターには、 どんなことも話してた。 この事も、 話すとなにかいい解決が出来るんじゃないかと思ったんだ…
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