第1章

16/40
前へ
/40ページ
次へ
「酷い話だな… だけど、 もしそうだったらどうする? その覚悟もしておかないとな… 違ってたら嬉しいし、 最悪、そうだったとしても、 その結論を受け入れられる精神力を付けておかないと。」 絶対に違うと言ってほしかった。 マスターにはそう言ってほしかったんだ。 そうすればちょっとはラクになれたのに。 よけいに不安が増殖する。 「俺は… どうすればいいんですかね…」 判定が出るまで1週間ほど。 その間、 俺はどうやって待ってろと言うのか。 「はっきりするまで、麻美ちゃんには会わないことだな。 そんな顔をおまえがしてたら何かあったって彼女はすぐにわかる。 判定が出るまで。 それまでの辛抱だ。」 それまでの辛抱って… 「もし、 兄妹だったら…?」 もし、 そうだったら… どうすればいいんだ…? 「そのときは… それでも、時間は止まらない。 生きていかなきゃダメなんだ。 兄として… 守ってあげるように、 努力する… それしかない。 でも、 それもまだ仮定の話。 ここはまあ、その後でもいいが、 大学の方は、もうあとがないんだろ? そっちは今頑張らないと。」 兄として…か 無理だ。 俺にはそんなこと、 できない。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加