第1章

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「麻美ちゃんが来るかも知れないから、 ここには来るな。 もし来たら… そうだな、 休んでた間の課題とかなんかで帰りが遅くなると言っとくよ。 落ち着いたら連絡させるって。 いいな? 絶対に会わない方がいい。 お互いのためだ。」 そう釘を刺されて、 部屋に帰る。 電気も点けずに部屋で毛布を被る。 デジャブを見てるようだ。 子供の頃の言いしれぬ不安 自分はこれからどうやって生きていけばいい…と 自問自答を繰り返したあの日 結論は結局出ないまま、 一人で生きていこうと決めた、あの日。 施設を出た、 あの日。 親は諦めたけど、 麻美は諦めたりなんかできない。 諦めるぐらいなら… あの時に死んでた方がずっとましだ。 そうしたら、 二度と諦める事はしなくて済んだんだから。 麻美の香りが残るクッションを抱きしめて、 ベッドに横たわる。 昨日のこの時間は、 ここで麻美は… 豊かな体を思い出して、 目を閉じた…
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