第1章

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もしかしたらやっぱり何かの間違いじゃないかと、 他の荷物を全部広げて… 写真があった。 赤ちゃんの頃の写真。 忘れもしない、あの子だ。 だんだんと大きくなる様子が手に取るように… 昔、現像したときにもらう、紙の小さいアルバムに2冊。 小学校を卒業する頃までの姿が… 不安と確信が突き上げるように… ノートが数冊。 交換日記? 園長先生と毅の日記。 表紙を開けるとそう書いてある。   たけしくん、   おべんきょうのほうはどう?   せんせいのいってることはわかる?   うん。   わかるよ   ともだちもできたよ   おかあさんはむかえにきてくれるかな   ええ。   しっかりとおべんきょうしていい子にしてたら、   ちゃーんとむかえにきてくれるわよ?   たけしくんはいいこだから。   ほんと?   ぼく、おべんきょうするよ。   うんとする。   おかあさんがびっくりするほどおべんきょうするよ? 初めはそんな風に綴る日記も…   先生?   お母さんは僕の事なんて忘れちゃったの?   勉強しても、   なんの連絡もないよ?   僕は本当はお母さんにとって要らないこだったのかな。   毅くん?   お母さんはここにあなたを預けるとき、   泣いてあなたがおなかを空かせてると訴えてた。   あなたのことが大事だから。   きっと迎えに来てくれるわ。   毅くんと二人で生活ができるようになったら、きっと。   うん。   わかった。   待つよ。   僕、お母さんを待つ。 そんな不安な内容で… 私をずっと待ってた気持ちが… ごめんなさい… 私…なんてこと…
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