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ひと段落したら連絡するから。
それまで、ちょっとの我慢だ。
そう言って麻美を車から降ろした。
「それまで、麻美もちゃんと勉強するんだぞ?」
まだ一緒に居たそうな顔をしてるけど、
これ以上一緒に居たら、
麻美を帰したくなくなる。
さらって逃げて…
そんなことはしちゃダメだ。
麻美から親を取り上げるようなこと…
しちゃいけない。
親がいない寂しさは、俺が一番知ってるんだから。
「わかった…
毅も頑張ってね…?」
寂しそうに手を振る。
いい子だ…
いい子…過ぎる。
無理矢理笑顔を作って、車を発進させる。
抱いてしまった…
まだ、違うとはっきりしたわけじゃないのに。
その罪悪感から車のスピードを上げる。
死んだか…
あの人は、
自分が捨てた子供のことを、
そんな風に想っているのか。
もし、俺があの人の子供だったら、
生きてた俺は…
迷惑なんだろうな。
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