第1章

24/40
前へ
/40ページ
次へ
麻美の香りが部屋に充満してる。 つい2時間ちょっと前の、 ロールケーキとおにぎりが入ったコンビニの袋もこたつの上に置いたままで。 あの人が… 自分のおなかを痛めて生んだ子供のことを、 自分の人生から切り捨てて、 自分の生活だけを守っていることにすごく腹が立って… 腹が立って、 腹が立って、 仕方がないのに… 愛する麻美の母親だと言うことで、 恨みきれない自分の中の想い。 自分の母親は本当は今も俺のことを想っていてくれて、 いつかは逢えると信じてるんじゃないかという希望もどこかにあって… 麻美への想い。 母親への想い。 どこか似てるのかも知れない…と、 自分で分析してみたりして。 遣り場のない自分を持て余して… 狭い部屋を歩き回る。 あの研究所に行ったのが月曜日だったから、 この金曜日か、 遅くても月曜日。 ああ… 月曜日は祭日だから、 火曜日か。 その日にははっきりしてる。 麻美と何の問題もなく愛し合える。 早く時間が経ってくれ。 そう想う気持ちと、 もし、 兄妹だったら… と言う恐怖で、 また今夜も眠れないだろう
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加