第1章

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金曜日。 この日が来てしまった。 判定が出たという連絡をもらって、 また同じようにあの待合いで待たされてる。 ほんの5分ほどの時間が永くて… でも、 時間は経って欲しくなくて。 俺は麻美になんて話そうか。 この一週間のこと。 今日は帰ったらすぐに麻美に電話をして、 今から会いたいと言うんだ。 会えたらすぐに抱きしめて、 この前はゴメンと謝ろう。 絶対に心配をしてるはずだ。 上手く不安を隠せていなかったと思うから。 どうして?と聞くだろう。 そうしたら、こう答えるんだ。 麻美と離れてると不安なんだ。 でも、それに慣れなきゃいけない。 あと数年は、 まだこんな日が続くんだから。 だけど、 愛してる。 と。 麻美はきっと信じるだろう。 こんな葛藤があったことなんて、 知らなくていいんだ。 それが麻美の幸せ… 「……しくん… 毅くん…?」 呼ばれて我に返る。 その時が来たんだ… 大丈夫。 信じれば叶うって、 園長先生は言ってた。 信じることしか出来ない。 立ち上がり、 ふたりのあとを歩く。 少し離れて…
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