第1章

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鑑定書を前に、 3人は並んで座ってる。 相変わらず雑然とした部屋。 穴が開くほど見つめて… 誰も何も言わない。 どれだけの時間が経ったのか… 「私が… 開けてもいいかな…」 父親が声を発した。 伸ばした手が、少し震えてる。 俺はその鑑定書を見ることが出来ない。 一枚… 開いて手が止まる そのまま頭を抱えて… うずくまって その様子を見て、 あの人が顔を覆う。 ごめんなさい と小さく言った… 「本当なら… 喜ぶべき結果なのだけど。」 研究所の人が口を開いた 「話は聞いています。 離ればなれで育った兄妹に、 稀にあることではあるんです。 感じ方が似てたり、 同じものが好きだったり。 話してると妙に懐かしい感じで、 運命の人だと思ってしまう… そのふたりが悪い訳じゃない。 同じDNAがそうさせるんです。 相田とは昔からの知り合いで、 私に出来ることならと引き受けはしたけど… こんな結果… 申し訳ない。」 何でこの人は謝っているのか。 俺には理解できない。 何が言いたいのか… 本当は解ってる。 信じてればきっと叶う そう言って園長先生は俺を励ましてくれたけど… 何ひとつ! なにひとつ… 叶わないじゃないか。
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