第1章

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無機質な廊下を歩く。 俺はどこに行けばいいんだ 麻美になんて言えばいいんだ もう麻美には逢えないのか 「毅くん! 待ちなさい。 送っていくから。」 父親が追いかけてきて、 俺の腕を掴む。 離せ! 触られたくもない。 「送っていただかなくて結構です。 ひとりで帰れます。」 ワザと他人行儀な言い方 「こんな結果になって… 本当に申し訳ないと思ってる。 だけど、 うちの子供だと判ったんだ。 これからは…」 これからは兄として麻美と接しろと言うのか? そんなことが出来る訳ないじゃないか。 俺たちは愛し合ってるんだぞ? 一生を誓い合い、 お互いが居ないと生きていけないほど… 「結構です。 お断りします。 家族? そんなものはこっちから願い下げだ。 何かしてくれるというなら… 麻美と兄妹じゃないと、 証明してくださいよ。 麻美には俺から話します。 あなたたちから聞いて、 もう俺には会うなと言われたんじゃ… 彼女が余りにも可哀想だ。 ちゃんと話しますから。」 ちゃんと話す… どうやって…? 玄関の自動扉から出る。 冷たい北風が、、 俺の頬を殴って 肩を竦めて歩き始めた…
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