第1章

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** 「やっぱりこの部屋に毅が居た方がいいね? 二人になれるから。」 簡単な掃除を済ませてコーヒーを煎れる。 インスタント。 美味しいコーヒーは店で飲むから、 この部屋ではインスタントでいいらしい。 毅は… 私を抱き抱えてベッドに降ろす。 「したい… いい?」 触れるほど近付いた唇が私の耳元で動く 息が掛かって… ドキッ… とする。 心臓が飛び出るかと言うほどの音を立てて… あんなにこのときを待ちかねてたのに 「どうしたの…?」 なんて聞くから。 「前より逞しくなったみたい…」 決意したからね… 一生、麻美だけだと。 え? じゃあ今まで決意してなかったの? してたよ。 だけど、 もっと強く。 麻美のために生きていくと。 気がつけば二人とももう… キスを交わしながら、何も身につけてない。 寒さも感じない。 毅の暖かい胸が包んでくれるから… 「愛してる…」 私も… 愛してる。 あのときにはもう二度と毅には会えないと想ったけど、 もう二度と、 誰かに抱かれるなんてないと想ったけど… 毅だから。 受け入れたかった。 ずっと眠ってたときにも、 今、この幸せなときも… やっぱり毅が欲しい。
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