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「ママ?
毅とご飯食べてから帰るから、
準備しなくていいよ?
遅くならなように帰るから。」
帰ってから…
遅かったわねとか、
いらないんなら電話ぐらいって、
絶対に言うんだから。
遅くなったときには。
でも、ママの声、なんかちょっと違ったな…
毅が居なくなっちゃって、
ママも寂しいのかしら。
息子が出来たみたいだって、
ママもちょっと嬉しそうだったから。
「どうした?」
「ママも毅が居なくなっちゃって寂しいみたい。
声が沈んでた。」
嬉しそうに笑う。
そんな顔も少年のようで、好き。
「麻美が好きそうな物は作れないよ?
見切り品のキャベツとピーマン買ったから、
野菜炒めにしようかって思ったんだ。」
なんでもいいもん。
毅が作ってくれるものなら。
…
「早く終わった日は、
店に寄っていい?
すぐに帰るから。」
やっぱり何日も会えないってイヤ。
少しだけでも顔を見たいの。
だって、
まだ無理しちゃダメなんだから…
帰りの車の中で訴える。
店に寄っても、暗くなるまでには着くように帰るから…
「しょうがないな…
ちょっとだけだよ?」
部屋に帰ったときには嬉しかったんだけど…
やっぱり寂しいな。
同じ家に居たのに、
離れて暮らしちゃうって。
前のように家の前で車を降りる。
じゃあね…
おやすみ。
と手を振る。
帰って行く車を見送ってると、
凄く寂しい感情が沸き上がる。
もしかしたら…このまま…
なんて、
そんな訳ないのに。
あながちその予感が間違っていないことに気付くのは…
数日経ってからのことになるのだけど。
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