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「どうした?
こんな時間に。」
帰ってきた夫がリビングに入って声をかける。
もう日付が過ぎてる。
いつもならもう寝てる。
朝が早いから。
年が明けてから新年会が毎日続いて、
夫も疲れてる。
麻美は帰ってきてすぐに自分の部屋に入って出てこない。
音楽が少し漏れてるから、
まだ寝てはいないんだろう。
夫が帰ってきたら、
話そうと決めてた。
麻美が電話を掛けてきたときに、
決めたんだ。
広げた荷物も片づけて、
麻美が帰ってきても、気付かれないように。
私一人の力じゃ、
もうどうすることもできない。
夫にどんなに罵られたとしても、
麻美と毅くんを今までの関係で居させる事は出来ないんだ。
「あなた…
話があるの。
麻美に聞かれたくないから、
ちょっと外、出れますか?」
「飲んでるし…
ここじゃダメなのか?」
ごめんなさい。
どうしても…
お願いします。
そんな私の表情に、
ただならぬ何かを感じたのか、
わかった。
と、
水を一杯、飲んだ…
私は階段の下から麻美の部屋に声を掛けた。
「麻美ちゃん?
明日の卵、買うの忘れたから買ってくる。
早く寝なさいよ?」
はーい。
機嫌のいい返事が返ってくる。
私の軽自動車に夫と乗り、
静かに車を出した…
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