第1章

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「だけど、 会えたんだろ? これからでも遅くない。 精一杯の愛情を掛けてあげよう。 ちょっとずつ離れてたときの溝を埋めれば…」 あなたは本当に優しいのね… だけど。 「その子は… やっと会えた、その子は…」 言わなきゃ… 今、言わなきゃ。 夫は優しく見つめてくれてる。 だけど、 その目はきっと怒りに変わる。 解ってる。 「毅くん… 毅くんなの。」 やっと言えた言葉に、 夫は理解できないという顔で、私を見る。 頭を傾げながら、 「毅くんは、 ご両親は事故で亡くなったと言ってたじゃないか。 冗談だろ?」 首を横に振ることしかできない。 「ちょっと待って? ちゃんと説明してくれないと、 信じることは出来ない。 だって… 毅くんは麻美と、 愛し合ってる。 男と女の関係だぞ? 兄妹で愛し合ってるという事になるじゃないか。」 少し、声を荒げる。 解ってる。 だから… 「別れさせなきゃ…だめ…なの…」
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