brown bear

2/2
前へ
/3000ページ
次へ
「ゴガァー!!」 まさか、熊と出会うとはな。 「……パパ。」 「大丈夫だ。」 月に1度の息子と会える日に、熊と出会うとはな。この状況から生きて下山出来たら、きっとアイツに大目玉くらうだろうな。 「怖いよ。」 「大丈夫だ。」 一体何が大丈夫なんだ?奇跡的に熊は、俺達を睨み付けてるだけで襲って来ないが、この距離にして5メートルぐらいのどこが大丈夫なんだ? 「食べられちゃう?」 「そんな訳ないだろ。母さんにその花を持って帰るんだろ?」 息子が喜ぶ母親の笑顔を想像して花畑で摘んだ花は、恐怖で強く握り絞められた手で、既に萎れていた。 「ゴガァー!」 「パパ……。」 「大丈夫だ。いいか?ゆっくりだ。ゆっくり、熊から目を離さずに後ろに歩くんだ。出来るな?」 「うん。」 「よし、いい子だ。」 助かる。俺達は、絶対に助かる。こんな所で熊に食い殺される訳がない。そんな事は有り得ない。有っちゃならないんだ。俺は、無事に息子を連れ帰る。きっと数年後には、この出来事も笑い話になっている。少し後ろに山小屋がある。きっとそこに何か武器になる物があ 「ゴガァー!」 「え?」 熊は、息子の頭にかぶり付いた。
/3000ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加