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「……色、たいへんなことに、なってる、よ」 「…陸はいつも安定してるな」 「……うん、特に最近は、ね」 小学校からの付き合いで、いわゆる幼馴染。 そして、度々連絡を取っている仲。 引越しを理由に、俺とは違う高校に入学した。 入学初日に『面白いやつ』が友達になったっていうのを聞いて、ひどく安心したっけ。 人見知りなうえ、沢山の色が視えてしまうから。 一年経った今でもそいつとは仲良くやっているらしい。 中学校卒業日、陸に友達ができるかだけがとにかく心配だった。 だから、とても嬉しい。 『毎年、絶対、ここに、来るから』 陸が引っ越す前日。 ここでそんなことを言われた。 『久しぶり、けん』 毎年、一年ごとに。 陸は絶対ここに来てくれて。 同じことを毎回言うんだ。 「…ほら、父さん、母さん。陸も来てくれたよ」 交通事故で天国へ逝ってしまった両親に、笑いかけた。 「……ん、色、変わったような気がする……」 親の色はもう視られなくなってしまったけれど。 「……変わったな」 陸は俺のために、そう言ってくれる。
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