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｢あそこに女の人が立ってるよ？｣
子供の頃、悪戯心に口にした"嘘"の言葉。
予想以上に驚き怯える人たちの様子が、すごく滑稽で堪らなかった。
それが癖になって、本当は"見えない"のに"見える"フリし続けてしまった。
変な目で見られることもあったけど、興味本意で近づいてくる人もいた。
"嘘"のおかげで、ずっと1人だった私の周りには人が集まるようになっていった。
全部"嘘"なのに、いつしか自分が"特別な人間"にさえ思えてしまっていた。
楽しかった。
面白かった。
たった言葉ひとつ、目線ひとつで悲鳴を上げ、騒ぎ食いついてくる人達。
快感と同時に"嘘"をつき続けていれば私は1人じゃないという安心感もあった。
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