第3章 鳥の国

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テオたちがエアリアの美しい街並みに見とれていたその時、空から二人の鳥族の衛兵が音もなく舞い降りてきた。彼らの羽は光を受けてきらめき、鋭い目でテオたちを見据えていた。 「よそ者か…。ここに来るには風域を越えたようだな。」 一人の衛兵が鋭い声で言った。 もう一人の衛兵もテオたちを観察しながら続けた。 「エアリアへ入国した者は、女王の宮殿で検査を受けることが義務だ。お前たちも例外ではない。ついて来い。」 「検査か…?」 テオが少し緊張した様子で尋ねた。 「心配ないよ、テオ。僕たちは正規のルートでここに来たんだから。」 チオが優しく声をかけた。 「それに、風域を越えた者は信頼に値するはずよ。」 テンシルも冷静に答え、衛兵たちに対して堂々とした態度を見せた。 「さあ、早く案内しろよ。俺たちはわざわざ風を切り裂いてここまで来たんだからな。」 人犬が軽い調子で言うと、衛兵たちは彼を一瞥して少し眉をひそめたが、何も言わずに先へと進んだ。 「うっ…言い過ぎたか?」 人犬が照れくさそうに小声で呟いた。 「まあまあ、人犬。黙ってついて行こうよ。」 チオがくすりと笑いながら人犬をなだめた。 衛兵たちに案内されながら、一行はエアリアの美しい街を進んだ。通りには様々な種族が翼を広げ、空を飛び回ったり、楽しそうに賑やかな会話を交わしていた。その光景は、まるで絵本の中に入り込んだような平和で美しいものだった。 やがて、彼らの前方に壮麗な宮殿が見えてきた。その宮殿は白く輝く大理石でできており、天を突くように高くそびえていた。入り口に向かうほどに、テオたちはその巨大さと美しさに圧倒されていった。 「なんて綺麗なの…!」 テンシルが目を輝かせ、宮殿の細部にまで目を凝らしていた。柱には精緻な彫刻が施され、壁には色鮮やかな模様が刻まれている。風に揺れるカーテンがまるで雲のように柔らかく、光の反射で虹色に輝いていた。 「本当にきれいね…夢みたい。」 ミエラも感嘆の声を漏らしながら、目をキラキラとさせていた。 「ここまで完璧に美しい場所は見たことがないわ。宮殿そのものがまるで芸術品みたい。」 テンシルも同意し、感動を隠せない様子で宮殿の至る所に目を向けていた。 「おいおい、こりゃあ豪勢な場所だな…。あんまり派手すぎると俺たち場違いじゃねえか?」 人犬が周りを見回しながらぼそりと呟いたが、その声には明らかに感動が隠れていた。 「確かに、ここまで豪華な宮殿は僕も初めてだよ。」 テオも息を呑むように言った。 「でも、ここで女王に会えるかもしれないんだ。それを考えると、気を引き締めないとね。」 「うん、僕たちの目的は女王に協力をお願いすることだからね。しっかりしないと。」 チオがテオに笑顔を向け、互いに頷き合った。 衛兵たちは無言のまま、堂々と宮殿の巨大な扉へと向かっていった。その扉の前で一瞬立ち止まり、テオたちを振り返る。 「ここが女王の宮殿だ。今から検査を行う。お前たち、覚悟はいいか?」 「うん。」 テオがしっかりと頷いた。 こうして、テオたちは美しいエアリアの宮殿へと足を踏み入れ、次なる試練に備えることとなった。
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