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第1章 平穏の終わり
インセクトピア――それは、さまざまな昆虫たちが共に暮らす美しく平和な王国だった。
広大な草原には色とりどりの花が咲き乱れ、柔らかな風が小川のせせらぎと共に吹き抜けていた。
毎朝、太陽の光が緑豊かな森に差し込み、王国の住民たちはその恵みに感謝しながら、穏やかな一日を始めていた。この王国を治めているのは、勇敢で賢明なテントウムシの王、テンテンである。
テンテン王は昆虫たちに深く尊敬され、その正義感と慈愛に満ちた統治によって、長年にわたり王国に平和をもたらしてきた。
彼の優れたリーダーシップのおかげで、インセクトピアは他のどの王国よりも安定した繁栄を享受していた。
テンテン王には一人の息子がいた。
彼の名前はテオ。
まだ幼いテントウムシであるが、父親のテンテン王から英知と勇気を学び、いつか自分も王国を守る役割を果たしたいと願っていた。
テオは大人しく、表情の変化が少ない子供であったな、心優しく、誰に対しても親切に接する性格で、王国の住民たちからも愛されていた。
ある日の朝、テオはいつものように早起きをして、王国の広場に向かっていた。そこでは、彼の親友であるクワガタのチオと会う約束をしていたのだ。
テオとチオは幼い頃からの仲良しで、互いに信頼し合い、どんなことも一緒に楽しむことができる大切な友達だった。
広場に向かう道中、テオは王国の美しい風景を眺めながら、心が満たされていくのを感じていた。
鳥たちが木々の間を飛び交い、蜂や蝶が花々の間を忙しなく飛び回っている。テオは微笑みながら、小さな足で一歩一歩進んでいった。広場に到着すると、チオが既に待っていて、彼を見つけると手を振った。
「テオ、おはよう!今日も良い天気だね!どこに行くか、もう考えた?」
チオは元気よく声をかけた。
「おはよう、チオ。今日は森の中にある隠れた泉に行ってみようって考えてるんだ。あそこには特別な花が咲いてるって大臣のオージスから聞いたんだよ。」
テオは大人しい性格ながらも目を輝かせて答えた。
「それは素晴らしいね!僕たちでその花を見つけて、持ち帰ろうよ!みんなに見せたらきっと驚くよ!」
チオも興奮して提案した。
「でも、父上からは、何かあったらすぐに戻るように言われているんだ。だから、無理はしないで安全に冒険しよう。」
テオは父親のテンテン王がいつも心配してくれていることを思い出しながら、チオに言った。
「もちろんさ!安全第一で行こう!」
チオはテオの心配を理解し、笑顔で頷いた。
こうして二人は、インセクトピアの平和な日常から飛び出し、新たな冒険の一歩を踏み出した。彼らはまだ、自分たちの手によって大きな運命が動き出そうとしていることを知らなかった。
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