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インセクトピアとテンテン城にて
昆虫王国インセクトピア――
この美しい王国は、天空から降り注ぐ光神の加護によって守られていた。光神の祝福を受けたこの地には、豊かな自然と平和が約束されており、王国の周囲には強力な結界が張られていた。そのため、王国の領域内には魔物が寄り付くことはなく、住民たちは安穏とした生活を送っていた。
インセクトピアの中心には、壮大な城がそびえていた。それが、昆虫たちの守護者であり、賢明な統治者であるテンテン王が住まうテンテン城だ。城からは王国の隅々までその恩恵が行き渡っていた。
ある穏やかな朝、テンテン城では、いつものように和やかな空気が流れていた。テンテン王は、大広間で側近たちと共に王国の様子を確認し、民が平和に暮らしていることを喜んでいた。
「今年も光神様のご加護で、王国は順調だな。みんなが幸せに暮らせているのが、何より嬉しいよ。」
テンテン王は微笑みながら、側近たちに語りかけた。彼の声は若々しく、親しみやすさを感じさせるものだった。
「はい、王よ。収穫も順調で、今年も豊作が期待できそうです。」
側近の一人が、穏やかに報告した。
「それは良かった。みんなが笑顔で過ごせるのが、何よりの幸せだね。」
テンテン王はその報告に満足そうに頷き、周囲を見渡した。
だが、穏やかな報告の中に、気になる話題が一つ持ち上がった。
「王よ、最近、東の森で魔物の出現が増えているとの報告がございます。これまで結界の外でしか見られなかった魔物たちが、なぜか周辺で活動を強めているようです。」
別の側近が、少し緊張した表情で言った。
「東か…確かに、魔物が増えているのは気になるな。でも、結界のおかげで王国には入ってこれないはずだ。まずは様子を見て、必要なら対策を考えよう。」
テンテン王は少し考え込むように眉を寄せたが、すぐに気を取り直して言った。
「了解しました。引き続き、王国の周辺の警備を強化いたします。」
側近は深く頭を下げた。
「よろしく頼むよ。僕も気を抜かずに見守るから、何かあればすぐ知らせてくれ。」
テンテン王は柔らかく微笑みながら、側近たちを安心させるように言った。
その時、城の外で小さな騒ぎが起こった。伝令が急いで大広間に駆け込んできたのだが、テンテン王はその動きを手で制し、彼に落ち着くように示した。
「まだ焦るな、まずは落ち着いて話してごらん。」
テンテン王は優しい声で伝令に語りかけた。
「は、はい、王よ…。テオ様が、チオ様と一緒に森の奥深くまで入ってしまわれたようで…」
伝令は息を整えながら報告を始めた。
「テオが?まぁ、あいつは冒険好きだからな。でも、森の中でも光神様の加護があるし、大丈夫だろう。」
テンテン王は少し笑いながら肩をすくめたが、伝令の様子がどうにも気になる。
「そうですが、魔物の出現が増えているとの報告もありまして、万が一のことが…」
伝令は心配そうに続けた。
「なるほど…そうか。確かに心配だな。今すぐ警備を強化して、必要があれば救援を送る準備をしておいてくれ。」
テンテン王は少し表情を引き締め、伝令に指示を出した。
「かしこまりました、王よ!」
伝令は深く頭を下げ、すぐに手配のために走り去った。
「全く、あいつは自由に育てたせいか、ちょっと冒険が過ぎるな。」
テンテン王は苦笑いを浮かべながらも、少しだけ心配そうに遠くを見つめた。
しかし、この時点では、テンテン王もまだ事の重大さには気づいていなかった。テオとチオが、魔王イマラス復活の引き金を引いてしまうことになるとは…。
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