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テンテン王が伝令との会話を終えた後、彼は一息つくために大広間を後にし、城の中庭へと向かった。中庭には、四季折々の花々が咲き乱れ、心地よい風が吹き抜けていた。光神の加護を受けた城内は、どこを歩いても平和と安らぎに満ちていた。
そこでテンテン王は、彼の妻、**テンコ王女**が庭の手入れをしているのを見つけた。テンコは優美で聡明な王女として、王国の民からも深く愛されている存在だった。(ただし怒らせると兵をも圧倒する力を発揮する潜在能力を秘めているので注意が必要。)
テンテン王はテンコの元へ歩み寄り、彼女が花の世話をしているのをそっと眺めていた。
「テンコ、今日も花の手入れをしているんだね。」
テンテン王は穏やかな笑みを浮かべながら、彼女に声をかけた。
「テンテン、あなたこそ忙しいのに、少しは休んでいかなくて大丈夫なの?」
テンコは振り返り、柔らかな笑みを浮かべてテンテンに答えた。
「いや、君の元に来ると不思議と疲れが取れるんだ。それに、こうして君と話すのは僕にとって何よりの癒しだからね。」
テンテン王は冗談交じりに言いながら、テンコの隣に座った。
「ふふふ。本当に?それなら良かったわ。」
テンコは微笑みながら、そっと手を伸ばしてテンテン王の手を取った。
「でも、今日は少し気になることがあってね。テオがまたチオと一緒に森に冒険に出かけたらしいんだ。いつものことだけど、最近は魔物が多いみたいで…少し心配だよ。」
テンテン王は心の中にあった不安を少しだけ吐露した。
「そうなのね…。あの子は大人しいけど、あなたに似て強く聡明に育って、冒険好きなのは昔から変わらないわね。全く誰に似たのかしら。」
テンコは優しい目で夫を見つめながら、息子のことを思い浮かべた。
「自由に育てたのは僕たちだけど、やっぱり少し過保護すぎかな?もっと訓練を厳しくしておけばよかったかもしれない。」
テンテン王は少し苦笑いしながら、自分たちの育て方を振り返った。
「いいえ、テンテン。テオは私たちの教えをちゃんと守っているし、彼には彼の成長の道があるのよ。あなたがその道を信じてあげることが大事だわ。」
テンコは静かにそう言って、テンテン王の手を軽く握りしめた。
「君がそう言ってくれると、少し安心するよ。僕たちの大事な王子だ、いつか彼も立派に王国を守ってくれると信じてる。」
テンテン王は少し緊張を解きながら、テンコの手を握り返した。
「もちろんよ。テオはあなたに似て勇敢で優しい心を持っているもの。」
テンコは温かい笑みを浮かべ、二人の手をそっと重ね合わせた。
二人はしばしの間、庭に咲き乱れる花々を眺めながら穏やかな時間を過ごした。風が吹き抜け、花の香りが二人を包み込む中、テンテン王とテンコはお互いの存在がどれほど心強いものかを感じていた。
「さあ、僕はそろそろ戻らないと。テオが無事に帰ってきたら、またここで君と一緒に過ごしたいな。」
テンテン王は立ち上がり、テンコに微笑みかけた。
「ええ、楽しみにしてるわ。」
テンコも笑顔で応え、テンテン王を見送った。
テンテン王は中庭を後にしながら、テンコの言葉を胸に刻み、再び大広間へと戻っていった。彼はまだ心配を完全に拭い去ることはできなかったが、テンコの言葉が彼に勇気と安心感を与えていた。
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