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テオたちは、さらに強力な風域に突入しようとしていた。眼前に広がるのは、激しく吹き荒れる風の壁。まるで天そのものが彼らの進入を拒んでいるかのようだった。
「これが風域…まさに自然の防御壁だ…。」
テオが驚きと緊張を込めて呟いた。
「ツノドン、大丈夫?。」
チオが優しい声で語りかけた。彼は心配そうにツノドンの背中にしっかりとしがみついていた。
「心配するな、俺はこんな風に負けるほどヤワじゃない!」
ツノドンが強く答えたが、その声にはほんの少しの苦しさも感じられた。それでも、彼は全力で翼を広げ、風域に立ち向かっていた。
「すごい…ツノドン、これだけの風に逆らえるなんて…僕たちだけじゃ絶対無理だったよ。」
チオが驚きと感謝の気持ちを込めて言った。
「うぅ。気を抜いたらふっ飛ばされそうだぜ。」
人犬が不安げに空を見上げた。
「風域はエアリアを守るための最後の砦。これを突破することができれば、女王の元にたどり着けるわ。」
テンシルが冷静に説明しながら、風の強さを肌で感じていた。
「ツノドンの力を信じましょう。ここを乗り越えられれば、エアリアが迎えてくれるはずよ。」
風がますます激しさを増し、ツノドンの巨大な翼が揺れ始めた。彼の顔には苦しさが浮かび、風に押し返されながらも、彼は力を振り絞り続けた。
「ツノドン、無理しないで!みんなで一緒に乗り越えよう!」
チオが優しい言葉でツノドンを励ました。その言葉には、仲間を信じる心が込められていた。
ツノドンは仲間たちの声援に応えるように、再び翼を大きく広げた。彼の心には、絶対に諦めないという強い意志が宿っていた。
しかし、風域の力は予想以上に強く、彼らを押し戻そうとする。ツノドンの翼は疲労で震え始め、進む速度が徐々に落ちていった。
「こんなところで…諦められるか…!」
ツノドンが歯を食いしばりながら、自分自身を奮い立たせた。
その時、チオが静かに手をツノドンの背中に置き、優しく語りかけた。
「ツノドン、大丈夫だよ。僕たちが一緒にいるから、絶対に越えられる。」
その言葉はまるで温かな光のようにツノドンの心に届き、彼の疲れた身体に再び力を与えた。ツノドンはもう一度、全身の力を振り絞り、風に抗いながら前進を続けた。
「もう少しだ…!僕たちなら、できる…!」
チオの言葉に勇気づけられ、ツノドンはついに最強の風を切り裂いて、風域を突破することに成功した。
視界が開け、風の壁を越えた先には、エアリアの美しい浮遊島が広がっていた。輝く太陽の光が島々を照らし、まるで天上の楽園にたどり着いたかのような光景が広がっていた。
「やった…!」
チオが歓喜の声を上げ、他の仲間たちもその景色に感動した。
「ツノドン、さすがだね。君のおかげでここまで来られた…。」
テオが心からの感謝を込めて言った。
「お前たちもよく耐えたな。みんながいてくれたから、俺も諦めずにここまで来られた。」
ツノドンが息を整えながら、安堵の表情を浮かべた。
「さあ、次はエアリアにたどり着いて、女王に会おう。」
テンシルが静かに言い、仲間たちは力強く頷いた。
彼らの目の前に広がるエアリアの浮遊島は、次なる冒険の舞台だった。ツノドンと仲間たちは、試練を乗り越え、ついにエアリアへの道を切り開いた。
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