第3章 鳥の国

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風域を越えた先には、まるで絵画のように美しい街並みが広がっていた。エアリアは空中に浮かぶいくつもの島々で構成され、その全てが緑豊かで輝く太陽の光に包まれていた。青空には色とりどりの鳥族が自由に飛び交い、下界の喧騒から離れた楽園のような景色が広がっていた。 「これが…」 テオが息を呑むように呟いた。彼の目の前には、広大で壮麗な浮遊都市が広がっており、その美しさに心を奪われていた。 「すごい…本当に空に浮かぶ街なんだね。」 チオが目を輝かせながら、街並みを見つめた。彼の心は、これまでに見たことのない光景に満たされていた。 「空を飛ぶ鳥族たち…あんなに自由に飛び回っていて、まるで空そのものが彼らの庭みたい。」 テンシルが目を細めながら、上空を飛ぶ鳥族たちを見上げた。その優雅な飛行に、彼女も魅了されていた。 「地上もすごく賑やかだね。あれがエアリアの住民たちなのね…」 ミエラが街の中を見渡しながら言った。地上には、鳥族だけでなく、さまざまな翼を持つ種族が集い、楽しげに会話しながら行き交っていた。 「まるで夢のような光景だね。僕たちもこんな場所に来られるなんて…」 チオが微笑みながら感動を口にした。 街の建物はどれも美しく装飾されており、白く輝く石造りの家々や、木々に覆われた緑豊かな庭園が目に飛び込んでくる。風に揺れる花々や、清らかな水の流れが、街全体に穏やかな雰囲気を与えていた。 「ここが天候神と呼ばれる女王が治める国、エアリア…まるで天国みたいだ。」 テンシルが静かに呟いた。 「みんな、無事にここまで来られてよかったぜ。」 ツノドンが安堵の表情を浮かべながら言った。 「うん、ツノドンのおかげだよ。本当にありがとう。」 チオが優しい声で感謝を伝え、ツノドンは少し照れくさそうに笑った。 「さあ、エアリアをしっかり見て回って、次の目的に備えよう。」 テオが決意を新たにし、仲間たちもその言葉に頷いた。 エアリアの風景に魅了されながらも、テオたちはこれからの冒険に向けて、気を引き締めた。空の楽園とも呼べるこの地で、彼らの新たな挑戦が始まろうとしていた。
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