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「「・・・・・・!?」」
猫は身を一瞬強ばらせ、震えだした。二人は猫の様子に驚き、顔を見合わせる。
「なんで?」
のっぺらぼうは猫を落ち着かせようとするが、伸ばした手を猫は気づかずにはね除けた。
「イヤだ・・・・・・なんで」
のっぺらぼうは、はね除けられた手の居場所を無くし、平静を失う。聡に助けを求めようとしたのか、泣きそうな顔をむけた。
「なんで・・・・・・なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで」
猫の体は震えが止まらない。止まらないどころか、ガクガクと震えがひどくなっていった。
聡は呆気にとられていたが、意識を取り戻して猫の側へと近づいた。
「落ち着きなさいッ」
聡は羽織を脱ぐと猫を包み込んだ。突然暗闇に包まれたためか猫の動きが止まる。体の震える猫を抱き上げ、体を優しく撫でる。
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