姿くらまし消えゆくあの子

2/2

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
 熱が出ると、いろいろ考え事をしたくなる。  それは必ずしも深刻なことではなくて、お腹すいたなぁ、とかみんなに会いたいなぁ、とかあの子に会いたいなぁ、とか。  そんな中、ふと転校していった女子のことを思い出した。去りぎわに住所を書いた紙を渡してくれて、それ以来一度も会っていないけれど。今もその家に住んでいるのかな、お手紙を出したら届くかな。  こう思うのは、その子が僕の初恋だったからなのだろうか。  小学生ながらに、気も合うし趣味も近くてお互いに意識していたあの頃。人づてに「あいつお前のこと好きだってよ」とは聞いていたものの、当時小学1年生の僕にはどうすることもできず。  突然消えるように転校してしまったあの子、今は彼氏もできたのかな。僕の事を覚えているかな。 今度、ダメ元でお手紙でも出してみようかな。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加