別物

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「その足で、昨日、あのボコボコ現場に向かおうとしてたの?」 「……………」 足は、ほとんど治ってるんだけど… 「女子空手、とか柔道やってるひと?」 「やってない!」 2人のやりとりを見る他校生女子の視線が痛い。 「そうなんだ……てっきり……じゃ何部?」 意外に気さくな中村くんの質問に カバンを持つ左手が ちょっと、汗ばむ。 「……陸上……」 別に悪いことじゃないのに、 部活の話をするのが恥ずかしくなる意味不明な私。 Y高のアイドルと名高い、中村光くん、 頭も運動神経もイイらしい彼が 「中村くんは、何してるの?」 何に夢中になってるか 知りたくなった。 「昨日も聞いたけど 何で俺の名前知ってるんだよ?」 「…………」 顔が紅くなる。 これじゃ、 彼のこと、すごく好きみたいじゃない。 「まぁいーや…俺 美術部なんだよ」 そう 微かに微笑んだ彼の笑顔は " 好きみたい " を 「絵、描くんだ…」 ___ " 好き "だと私に認識させるものだった。
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