別物

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「沢山歌ったら、カラカラだよ~ 舞ちゃん、あんまり歌わなかったね」 「うん、音痴だからテリトリ少ないんだよ…………ん?…」 カラオケハウスを出てすぐの路地裏に 見たことある制服ブレザーが、 私服の男たちに囲まれているのを発見。 『中村くんと同じY高の男の子だ』 「舞ちゃん、見ない方がいいよ、いこっ」 カツアゲ現場を同じく目撃した野乃ちゃんは、 私の制服の袖を引っ張って、その場を去ろうとする。 「そうだね………」 続いて立ち去る 小さい私は 正義感すら持ち合わせていないのか とても恥じるべき人間かもしれない。 「始めっから出すの渋るから、雑巾にされるんだよ!」 男たちが お金を奪ったあとに、ブレザー少年を殴る音が聞こえた。 「頭いい学校行ってるくせに 肝心なとこは頭働かねーのな! 存在意味ねーじゃん!!」 人間が同じ人間に暴力を振るう音…____ こんな 音が するんだ……… 「舞ちゃん、どうしたの? 早く行こうよ! 気付かれちゃうよ」 慌てる野乃ちゃんに引っ張られても 足が動かない。 「……誰か助けて…」 死にそうな声が、耳に入ってくる。 私、 これでいいの?
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