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「いってきます。」
専用の送迎バスのさくらは、
私より ゆっくり出ていいはずなのに
今日は、私が朝食を食べている間に家を出て行ってしまう。
私と顔を合わせたくないんだ……。
追いかける形で
まるで漫画の1シーンのように、
クロワッサンを頬ばりながら出て行く私。
「さこらっ!まっへよ!」
朝の霜で濡れた遊歩道を
急ぎ足で行っていた、さくらの足が止まる。
「あんた、クロワッサン歯茎についたまんま学校行く気?」
「………。」
元気じゃん。
もっと悩んでるかと思ったのに。
残っていたパンを、ゴクンと飲み込み
「わたしは、さくらにはボディガードが必要だと思うんだ!」
頭の中に
クラスメートの" 音無 "を思い浮かべ
「…………ケビン・コツナーみたいなのいたらね。」
あっさり却下される。
♪♪♪♪♪♪
朝からさくらの携帯電話が鳴る。
着歴を見て、顔を歪ませていた。
____きっとあいつだ……____
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