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「やっぱり中村の知り合いだったんだ…」
部活動もできないんだろうな…
痛々しい傷跡から目をそらす。
「知り合いって程でも……」
うん、
そう
ただ通学電車がたまに同じになるだけの人。
「あいつは男女みんなに優しいから人気者だよ
あんたもファン?」
いつの間にか2人で駅に向かう形になり、何しに来たのか
自分で分からなくなる。
「まぁ……そうですね
あ、そうそう
あのグループみんな逮捕されたわけじゃないんですね。」
たぶん、同い年の男の子に敬語になる私。
中村くんの知り合いだからかな……
「捕まった奴が主犯の事、絶対口割らなかったらしいよ。
俺ももう関わりたくないから被害届だしてないからさ」
…………さくらに つきまとう" 剛 "って奴、
相当の悪だな……
「中村に会いたいなら駅裏通りの公園にいるよ」
「え」
「いま、スケッチに行ってるはず」
傷だらけの少年、私にニヤリと公園方向を指さした。
「邪魔しちゃ悪いから………」
美術部ってやっぱりちゃんと活動してるんだ。
「あいつが学校で人気あるのは、外見や性格だけじゃなく、才能があるからだよ」
「?」
なんか芸能活動でもやってるの?
「あいつの父さんは、
日本近代画家の" 中村晃大 " なんだ、
奴の才能は父親譲りだ」
いつの間にか着いてしまった公園の桜が、突然吹き出した風で
私の前に花びらの雨をもたらし始める。
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