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中村くんは道具を急いで片付けて、
そして、ベンチに座っていた私に気付くと、
「まだ、いたんだ?」
と、とても驚いた顔をした。
「桜を描いてたの?」
キャンパスを覗くと桜の並木道に、数人の人物も描かれていた。
「ピンク色の絨毯描きたくて、桜が有名なこの公園に来たんだ。
俺は一度学校に戻るけど、あんたは…?
って、
名前なんていうの?」
肌寒くさせる風と
散りゆく桜、
「言ってなかったね
杵渕 舞っていいます。」
「舞……ちゃん、
早く帰ったほうがいい」
優しい笑顔を振りまく中村くん。
春らしい夜に、
私はまだ酔いしれたいと感じてしまっていた。
「夜桜写メったら帰るよ
お疲れ様。」
私を気にしながらも
慌てて学校に向かう彼を見送り、
ライティングにより
白銀に輝く桜を携帯でカシャカシャ撮っていると、
ヴォン!!
というバイクの音がして
私はその手を止める。
" え?
ここ車両入って良かったっけ? "
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