複数愛

10/39

118人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
「舞ちゃん、おはよう!」 光くんの元気のいい声で起こされる。 目を開けて、飛び起きた。 「おはっ………、オっはー!」 「………オっはーって」 やばい、 昨日、 勝手に光くんにキスをした罪悪感が私を思い切り動揺させている。 「古くてびっくりした!慎吾ママンって確かにいたよな。」 「………うん、そう」 良かった。 気付かれていないようだ。 ………もっとすればよかった。違うか。 「布団、押し入れに?」 昨夜は、 四畳半の部屋にコッソリ移動して、しばらく眠れなかったから、 やたら眠い。 「うん、あげといて」 光くんはすでに制服を着ていて トーストを焼いてくれている。 「美咲さんは?」 「もう出たよ。今日は小さめの絵画の追加だけだから母さん一人で大丈夫みたい。 目玉焼き、乗せる?」 「パンに?じゃ乗せる」 初めての食べ方にワクワク。 「……あの、大きな絵とか、 賞穫った、"光"は展示会には出品しないの?」 焼きあがるまで 私は、ドリップ式のコーヒーの準備をする。 「うん、父さんが残した売り物用の絵画に比べたら有名すぎるし、 あれに高値がついてもトラブルが発生するだけだから 。」 「……そ うか……」 いくら有名な画家でも 亡くなって作品が尽きてしまったら 残された家族は生活の糧が無くなってしまう。 「晃大さんは、亡くなった先まで家族を思ってたんだね。」
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

118人が本棚に入れています
本棚に追加