複数愛

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刑事は、何か書類を取り出して 「あ、あった。君は、奴の交際相手だよね?」 サクラの存在は知っていたようだ。 「" 元 "で、 今は復縁を迫られてました。」 刑事は、それも調査済みのようで 「らしいね」 と事務的に何か書いている。 取り調べ室は、エアコンはまだ入ってなくて少し、蒸し暑かった。 私の額からも汗が吹き出してきた。 「…交際も半分脅迫されて始まりました。」 サクラの声が震える。 「脅迫?どんな?」 光くんも下を向いている。 「剛に襲われたこと………………噂でばらまくって」 聞いていた私は 汗と一緒に、 涙と鼻水まで出てきてしまった。 「…いつの話? 病院には行ったの?証人は?」 「………いません」 サクラは泣かないように我慢してるのに、 「合意の上じゃなかったって証明できるかな?」 私は、 もう、聞いていることができなくなった。 「……証明証明って…」 できなくて、 その席から立ち上がった。 「本人が恥ずかしい思いして訴えてるのが何よりの証拠じゃないの?!」 あの恐怖は女にしか分からない。 「舞……」 「舞ちゃん、落ち着いて」 未遂の私でさえ 、 思い起こせば 恐怖でいっぱいになる。 「形式的にしか質問できない刑事しか、 ここにはいないの?」 もっと 傷付いた、十代の心に 配慮してあげてよ。
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