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振り向くと、
キャンバスを手にした光くんと、
サクラが立っていた。
「舞……部活は?」
「………うん、休部中」
「また、足痛めたの?」
………痛めたのは、足じゃないんだけどね…
「桜、無くなったけど 総仕上げ。」
光くんは持参した椅子を広げて、
道具を取り出した。
「舞ちゃんが撮影してくれた桜の写真が、すごい参考になってるよ。」
「……そう…」
光くんは、
誰にでも振りまく素敵な笑顔で、
私を切なくさせる。
「私、散歩してくるね。」
「舞ちゃん、あんまり一人になるなよ、
剛まだ捕まってないんだからさ」
「わかってる。」
誰にでも優しいって、
ある意味
優しくないんだよ。
「舞、7時の電車で帰るんだからね」
「うん」
わたしは、並んで座る2人に背を向ける。
2人は
手を握っていた。
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